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二人は家の中で迷子になる
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Introduction
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第70回 サン・セバスティアン国際映画祭

サバルテギ・タバカレラ部⾨正式出品作品

第37回ベルフォール国際映画祭

インターナショナルコンペティション(短編部門)

第20回ブリィブ国際映画祭

インターナショナルコンペティション部門

舞台挨拶情報、イベントレポート(佐々木敦さん、占部房子さん等)
メディア掲載はNewsページにて!

Introduction

『ある惑星の散文』深田隆之監督の最新作!

世界の映画祭が注目する新たな才能。44分、驚きの映画体験。

概要

本年6月に深田隆之監督初の劇場公開作『ある惑星の散文』が上映され、大きな話題を呼んだ。

そして早くも最新作『ナナメのろうか』が公開決定! 姉妹関係の変化を描く珠玉の44分。​​

前作『ある惑星の散文』は作家性や芸術性の高さが評価される映画祭での上映が相次いだ。フランスのベルフォール国際映画祭やアメリカポートランド美術館で上映され、その豊かな映画表現とロケーションから着想を得たユニークな映画作りは観客の注目を集めた。最新作では44分という短い上映時間の中に2つの側面を持つ映画を見事に生み出した。オルタナティブな映画表現を追求する深田隆之が最新作でもユニークな映像世界を紡ぎ出す。

Story

Story

-それぞれの"いま"を生きる姉妹。子どもの頃にはもう戻れない。 -

あらすじ

改装される予定の祖母の家に来た姉妹、聡美と郁美。妹の郁美は妊娠し、シングルマザーになる決意をしていた。2人は家に残された物を片付け始めるが、昔遊んだおもちゃ箱を見つけ、こどもの頃のように遊び始める。しかし、お腹の子どもをめぐってお互いの溝が露わになり、2人は家の中ですれ違い、会えなくなってしまう。嵐の夜の中、姉妹は暗闇の中でお互いを呼び合うのだった。

Trailer

Trailer

Comment

奥山 和由 (映画プロデューサー)
大好きな映画、としか言いようがない。演じる女優さん、漂う空気感、「人」の懐かしい自然な表情を切り取る演出、すべてが心地よい。人の心の奥底を映す、映像本来の媚薬感を満喫できる。

三宅唱(映画監督)

廊下。台所。庭。寝室。見慣れたはずの生活空間なのになぜか目が離せない。そして、その場所に囚われているかのような二人が、いつしかその境界線をゆるやかに、いや必死に越えようとする。その様が時にユーモラスで、時にスリリング。家一軒で、階段一つで、こんなに刺激的なことができるのか。

​​草野なつか(映画作家)

深田隆之監督の穏やかな視座と、雑然としていながらもきちんと手入れのされた「この家」には心地の良い余白がある。モノクロのこの家に偽物の思い出が浮かび上り、私は、自分が劇中の姉妹らと親密な「もう一人」もしくは、家そのものになったような気持ちで画面を見つめる。家はもうすぐ姿を変える。建て直しではなくリフォームである。声やかたち・役割に変化が生じるようだ。実際に(きっと日本国内の)どこかにあるであろうこの家も同じ運命をたどるのか、それともそれは物語のなかだけのお話なのか、そのことにとても興味を持った。たとえ物語のいち舞台に過ぎないとしても、この家の声と匂い手触りに触れたような気がしたからかもしれない。

月永 理絵(ライター・編集者)

静けさに満ちていると思えたその家は、ある瞬間、突如として凶暴性を露わにする。つながるかに見えたものはぶつりと断ち切られ、バラバラに見えたものたちがふいに一つになる。この映画には、そんな驚くべき唐突さが満ち溢れている。同時に、ここにはとてもシンプルでいて複雑な、映画を見る/聞く喜びがある。

村上由規乃(俳優)

「手入れをしなければ朽ちていく」という、家や物を取り巻く大きな時間の流れに引き寄せられました。その特有の静けさと、今を生きる姉妹の生命力とが混ざりぶつかりあう見えない力が徐々に強まっていく緊張感、ふたりの間の小さな亀裂が広がっていくにつれて、あの家に留まっていた気だるい子ども時代の時空が開けていくような展開に底知れないスリルを感じました。

大川景子(映画編集)

すれ違う二人と探し合う二人。そこにまたもう一つ、過去の時間が流れ始める。祖母が集めてきた物の時間と写真が残した過去の時間が、さっちゃんが口ずさむ歌によって繋がり、どこかへと導いていく。ベットに仰向きになったいっちゃんの顔が忘れえられない。目に見えない何かが見えているようなその表情に、私がなぜあんなに安堵感を覚えたのか、まだ言葉にできないでいる。この映画はショットの積み重ねと、音の効果、揺らぎを使って時間を紡ぐ。言語化するのが勿体ないほどの効果があって、ずっと心に残っている。

片山享(映画監督・俳優)

ナナメになってしまった廊下の分、時間が経ったのだけれど、さっちゃんといっちゃんの関係はまっすぐで不器用で、でも、四角い色のない世界の中でいつか彩鮮やかな2人が見れるのではないかと思いました。尊い時間。子供と大人、老人。きっとそんなものは関係なくて、大事なのはそれぞれがそれぞれを想うことなのだと思いました。

木村奈緒(フリーライター)

家に堆積した時間や空気や声など、目に見えないものを、ひとつひとつ丁寧に差し出されているようで、不思議と観ているこちらの心も落ち着きました。片付けそっちのけで童心に帰って遊ぶ微笑ましい姉妹の姿と、大人になってそれぞれの事情を抱える姿とが、家という私的な場だからこそ浮かび上がってくるように思いました。階段から転げ落ちてくるおもちゃやビー玉などの小物使いが印象的で、忘れがたいです。

関口アナン(俳優)

朗らかな気分で見ていると、突如胸ぐらを掴まれる。窒息。揺れるカーテンから漏れる光と静かにはためく風が、我々の細胞を侵食して、目が離せなくなる。正確に切り取られたモノクロの世界に映る”何か”の”気配”。気がついたら、家に呑み込まれていた。

樺沢優希 (字幕翻訳者/劇場スタッフ)

おもちゃが階段から落ちてくるシーン、光るボールを2階に投げ入れるシーンは魔法的としか言いようがありません…! 俳優2人の演技がすばらしいのですが、あえて家を主役として撮られているようでぜいたくでした。後半に怖い雰囲気が出てきて、子どもを生むことで自分が続いていく、繋がっていく、恐れや不安のようなものを感じられるのがよかったです。映画館の暗闇のなかでもう一度出会いたいと強く思った作品でした。

Cast

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吉見茉莉奈(郁美役)

プロフィール

1990年愛知県生まれ。

大阪の劇団PEOPLE PURPLEで活動後、上京し現在はフリー。出演作『センターライン』『最高の人生の見つけ方』『宮田バスターズ(株)-大長編-』『サイキッカーZ』など。 

​コメント

『ナナメのろうか』をたくさんの方にご覧いただける機会をいただき、大変嬉しく思います。この物語には姉と妹の2人しか出てきませんが、その2人と同じくらいこの物語に欠かせないのが"家"の存在です。ぜひ、そんな家の気配や表情なんかも含めて楽しんでいただけたら…と思います。

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笠島 智(聡美役)
プロフィール
1984年生まれ、東京都出身。2013年『ミスターホーム』(監督・池田千尋)で映画初主演、2016年にSWANNY主宰公演「花はどこへ行ったの?」で初舞台を踏む。以降、多数の舞台や映画・ドラマ・CMなど幅広く活躍。主な出演作に、『ひかりの歌』(18/監督・杉田協士)、『王国』(18/監督・草野なつか)舞台では鵺的「夜会行」(作:高木登/演出:寺十悟)、城山羊の会「温暖化の秋-hot autumn-」がKAATにて今秋公演予定。
​コメント

家との関係が終わるときとはどんな風だろうと思います。朽ちて無くなることなのか、匂いも思い出せないことなのか。

そんな「いつかおしまいを迎えるもの」がこの作品には詰まっています。

深田監督が作品の中で大切にして下さったのは時間だったように感じています。人が暮らしていた場所での撮影にあたり足がすくむ思いだったはずなのに、気がつけば私はちゃぶ台の煎餅を齧りながら妹と恋バナしていました。

モノクロの向こうにある匂いなんかが、

観てくださる方へ少しでも届くといいなと思います。

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Director

​深田 隆之
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1988年生まれ。『ある惑星の散文』は2018年、第33回仏・ベルフォール国際映画祭にて正式招待され、2022年現在全国劇場公開中。また、濱口⻯介監督『偶然と想像』の2,3話に助監督として参加している。映画制作以外の活動として、2013年から行われている船内映画上映イベント「海に浮かぶ映画館」の館⻑でもある。社団法人こども映画教室の講師・チームファシリテーターとしても活動中。2021年からは愛知大学メディア芸術専攻で非常勤講師を務めている。

監督ステートメント

『ナナメのろうか』は祖母の空き家をめぐる姉妹2人の物語です。彼女たちが取り組む「片付け」という行為は様々な個人的記憶を呼び起こし、現実と交差します。2人がかつて一緒に遊んだ祖母の家。昔に戻ったように遊ぶ2人が直面するのは、それぞれの現実を生きる、変わってしまったお互いの姿です。そして、前半と後半で別の映画のようになる今回の構成は、映画表現だけが持つ話法の可能性に賭けたひとつのチャレンジでした。改装されるのを待つ家。生まれようとする命。何かが決定的に変わる直前の束の間の時間。是非劇場でご覧ください。

Dirctor
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吉見茉莉奈 笠島 智

監督:深田 隆之

撮影:山田 遼 録音:河城貴宏 照明:小菅雄貴 助監督:高橋壮太 制作:南 香好 
音楽:本田真之 整音:黄永昌 監督・脚本・編集:深田隆之 配給:夢何生 製作:√CINEMA 

2022年/日本/44分/スタンダード/モノクロ/ステレオ

​映画『ナナメのろうか』公式サイト

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